アマチュア観測気球は世界一周できるのか

2020年7月23日にAPRSにて北海道日高町付近にあるKC7VQR-11が観測されています。高度は12,522mですので観測気球であると思われます。

https://www.aprsdirect.com/details/statistics/sid/2954769

これは同7月11日に米国ワシントン州シアトルから少し南から発進し高度12,000mに制御され東に流れてヨーロッパを超え中央アジアを超えて日本海を超えて北海道に到達したと思われます。移動速度はおおよそ100km/h。

https://twitter.com/aprsballoons/status/1282142397481095168

2020/07/23 12:27:15+09:00 JA8SX-3

2020/07/17 15:39:40+09:00 R4ADW-7 ベオグラード

2020/07/15 14:50:49+09:00 GM7AFE メインランド島

2020/07/15 03:01:43+09:00 TF1APA アイスランド

2020/07/14 02:29:25+09:00 VE2RRU-3

2020/07/11 23:24:54+09:00 N7RHW 最初の観測、シアトル

世界記録

調べてみると世界記録は767日で世界35周らしい

http://www.scientificballoonsolutions.com/news/

メイルで問い合わせてみた

メイルで問い合わせてみると、バッテリーなしのソーラーパネルからの電力がある時だけ20mw出力で送信。ソーラーパネルも小さく、積極的に高度を制御するような仕組みはなくバルーンの特性として12000m前後を維持できるようだ。

今後の進路

このまま北緯45度前後を東に移動し続けるとすると。ベオグラードから日本までの距離は9,000km、これを6日間で移動したとすると時速60km。日本からシアトルはおおよそ5000kmなので四日はかからず2020/07/27日頃には北米で再びAPRSパケットが観測できるかもしれません。

仙台UFO事件

その少し前、2020年6月17日に仙台市上空でやはり正体不明の観測気球らしきものが発見され話題になりました。航空管制システムであるACARSには情報がなく。吊り下げている構造物がかなり大規模なものであったためgoogleのLoonではないかともいわれています。

しかしloonは位置情報が公開されており、当時日本上空に位置していたものはないので正体不明のままです。

https://www.flightradar24.com/blog/keep-your-eye-on-the-hbal-tracking-project-loon-balloons/

APRS運用周波数

デジピータパスをみるとJA8PGJ-10。144.66MHz 1200 baudで運用している局です。ビーコンは二分間隔で出ている模様。バッテリー電圧がが下がる夜間には送信をしていない。

北米は144.39MHz、ヨーロッパは144.80MHzが一般的なAPRSの運用周波数なので位置情報によって変化させる機能を備えている可能背がある。調査中。

http://www.aprs.org/

WSPR 20m

HF帯でのビーコン

観測気球キット

有人気球による世界一周は1999年3月21日。飛行距離4万5755キロメートル、飛行期間は19日21時間55分だった。

どのような機材で構成されているのでしょか。

APRSビーコンを出す気球を飛ばすことは世界的にはやっており、バッテリー式の高度制御がないものから始まり。太陽電池を備えて高度制御機能まで装備しているものまで様々。

Pico Ballon

https://www.zachtek.com/product-page/wspr-tx-pico-transmitter

Skaytracker

https://github.com/adecarolis/K1FM-Pico-Balloon

http://www.harc.net/programs/wb8elk-balloon-tracking.pdf

http://www.arrl.org/news/balloons-with-aprs-payloads-to-race-across-north-america-in-educational-challenge

ジェット気流と気球

偏西風、冬場は北緯25度付近だが夏場は45付近まで南下する。今回のケースはこれにうまく乗ったと思われる。

第二次世界大戦時は日本は風船爆弾を飛ばした。高度10,000mを維持するように制御された気球は北米にて351例発見されている。放出数はおおよそ九千個。未発見なものを推測すると到達率は11%と予想されている。

風船爆弾 純国産兵器「ふ号」の記録 吉野 興一 著

https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=1508

航空管制との問題

高度12,500mのフィート換算は41000フィート、FL410(フライトレベル)。旅客機の高度としては少し高めですが利用する範囲です。FL360/FL390。787の限度がFL430、Gulfstream はFL510まで登れる機種があります。コンコルドはFL550、F-15の上昇限度がFL560程度。F-22はFL650?U-2はFL700、SR-71はFL850を記録。グローバルホークFL650。

日本から北米路線はもうちょっと北を通ります。

まぁLoonと違って1Kgに満たない小さい物体である。

FL380でのニアミス映像

https://gigazine.net/news/20170625-weather-balloon-capture-airplane-fly-past/