実弾のお勉強

2022年5月追記:犯罪で押収された拳銃の写真をみかけた。拳銃用のドラムマガジンやロングマガジンが多く映っている。やっぱり、マガジン容量が多いのは重要なのだろう。

なんの役にも立たないのだけどもYouTubeで実弾の比較動画を見るのが好きだ。大口径弾で派手なターゲットがぶっ壊れる事だけを狙ったものも多いけど、科学的に比較しようと努力しているものもあって面白い。素人がやっているのが大半なので測定方法がばらついていたり、比較対象が示されていなかったり不十分に感じる物が多いけどね。

銃の特性は銃本体よりも使う弾薬の弾頭の種類や火薬量で決まる。

  • 9mm LUGER(500J)パラ 拳銃弾に関する話
    45ACP(500J)に比べて弱いのか?何十年も続いている話。1986年のマイアミでのFBIのレポートが有名。米軍が1985年にberetta FS92を正式銃(XM9)に採用した事もありその仕様弾薬である9mmパラが米国市場では主役になった。それ以前のM1911で採用されていた45ACPよりも初速が早く到達速度が速い、まだ細身なのでマガジンへの装弾数を多くできるのが利点。しかし、それでも45ACPの方が優位とする話や40SWなど9mmよりも口径を拡大した弾薬などが多く使われている。弾速が早い事はサイレンサーを使っても発射音が小さくならない。口径が小さいことは対象に対するストッピングパワーが足りないなど様々な懸念が示されてきた。そして35年経ち米軍が正式拳銃の更新をしたのは同じ9mmパラを使うSIG P320だった。10mm AUTOの減薬40SWも一時期注目されたけど9mmに回帰した模様。
    9mmパラを継続する理由で大きいと言われているのは装弾数。マガジン交換できると言っても交換作業のロスタイムは致命的で、マガジン交換せずに使える弾数は多い事は重要。元々、軍隊は小銃による戦闘力が主役であり拳銃は補助的だったが、最近は警察活動に準じるような都市部での軽装備での戦闘も多い事から拳銃の重要性が高く、今回採用されたM17,M18には21発のextend magazineも設定されている。
    ストッピングパワーに対してはホローポイント弾(M1153)を標準設定する事で対応している。警察組織では貫通してしまい周囲に二次的被害を与えることを防ぐ目的もあってホローポイントを使うのが普通だったが軍は長らくフルメタルジャケットを標準としてきた。

    • M1153 147gr JHP (Jacketed hollow point) / 重い弾頭、これなら45ACPに比べてストッピングが弱いなんて言われない?

    • M1152 115gr FMJ-FN(Full Metal Jacket Flat Nose)

  • .380ACP/380auto(250J前後)は弱すぎるのか?
    第二次大戦頃は9mmパラは強力な拳銃弾で、380ACP(380 AUTO)の方が一般的だったと思う。しかし、銃の製造技術が向上し小型でも9mmパラの威力を使える拳銃が多く登場した事により主役から降りた。実際に、サブコンパクトと言われる銃身が短くグリップも短いglock26で9mmパラを打ったことがあるがそれほど反動がきつくて扱いにくいと言う事はなかった。
    しかし、銃器メーカーも考えていて38ACP用によりコンパクトは拳銃を出してきたので、いわゆる「ポケットキャリー」。より手軽に持ち歩くには38ACPの価値があると思う。これより小さい弾薬32ACP,25ACPは採用している銃器が極端に減るし22LRはポピュラーではあるがさすがに口径が小さすぎるのと信頼性に劣ると言われるリムファイヤー方式なので380ACPはまだまだ多く使われると思う。KaHR P380が人気。強化弾(+P)を使えば300J程度稼げるし。
    https://shopkahrfirearmsgroup.com/p380-w-lci-kp38233/
    2021年7月に10発マガジンのLuger LCP MAX(314g)が登場したのでトップ交代かも。

  • 357マグナム(900J)拳銃弾に関する話
    対人間では無く、狩猟などのサブとして猪や鹿に対して使う事を考えると。どんな弾頭を使おうと9mmパラでは不足するという意見が多い。そのため、旧来は357マグナムや44マグナムと言った弾薬量も多いリボルバーが好まれて居たようだ。それに対し、10mm auto(800J)を推す意見があるのが面白い。10mm autoはなんだかんだ言って9mmパラでは足りないという勢力が好んでいる弾薬。例によって、弾頭に依存するものの基本的なエネルギー量は357マグナム等に劣る。しかし、拳銃は装弾数が重要であるとすると、同等の重量と体積で持って歩ける装弾数を考えると10mm autoが良いと言う事らしい。非常用なのでリボルバーに対する信頼は厚いけどね。
    狩猟用と言う事で44マグナム(1500J)とかもっと強力な拳銃弾も検討対象になるかも知れない。6inchのリボルバーで撃ったこともあるけど、保持しきれなくて銃が飛んでいくようなことは無いけど、とても素早く連射できるものでは無い。銃自体もかなり重い。

  • 5.56mmライフル弾の次は?
    軍用の主役と言える小銃弾の主役。1300J程度。これも色々欠点が指摘されている。Youtubeを観ると短いバレルのSBR(Short Barrel Rifle)だと弾薬の燃焼時間が十分に弾頭に反映されず最低でも12inchのバレルが必要らしい。これに対し10inch程度でも十分に弾薬の性能が引き出せるとして300 black out(7.62x35mm)、6.5mm grandellなどが登場している。
    よく比較されるのはAKシリーズで採用されている7.62x39mm弾。口径は大きいが作薬量は少なくマガジン装弾数も稼げる。
    9mmパラを使うサブマシンガンと同等のサイズで100mを超える実用距離が得られるMP7やP90などは注目はされているが広く使われてはいない。それよりも小銃の短銃身化しサイズを収める方向が好まれているようだ。特に300 blackoutに関するYouTubeは多い。他にも、5.56mm対応の銃からバレルや一部の部品を交換するだけで対応できる様々な弾薬が登場。共通のマガジンが使える事が結構重要視されているのが面白い。

    • 300 AAC black out(7.62x35mm) 1,800J
      亜音速で十分なパワー(220-240gr)、サイレンサーが有効に機能する。短銃身(9inch)でも使用できる。220gr subsonicで700J
      、125gr super sonicで1800J程度。5.56が20inchバレルが基本設計。同じ全長(2.26)、同じ最大径(376)。

    • 6.5 Grandel(6.5x39mm) 2,300J

    • 5.56mm NATO弾の種類
      SS109 (62 gr 940m/s 1,767J), M855, M995,mk262 mod 1/2(77gr),mk318, M855A1
      市販されているものでは50gr, 55gr, 62 gr,70gr, 77gr, 85grがある。

    • .458 SOCOM(11.63x40mm) 3,261J
      狩猟用?

  • 7.62mmx51弾(3,000J)の後継は?
    500m以上の長距離になると5.56mmでは到達時のエネルギーが足りない。1950年に標準化された7.62mmはもう設計が古いと言う事で新しい弾薬の模索が行われる。5.56mmの突撃銃としての用途と狙撃銃とマシンガンすべてに共通に使える弾薬を求めて。結構無理な要求。

    • 6.5mm Creedmoor 3,000J 1,000Y程の実用射程

    • 6.8x43mm SPC 2,400J

    • 6.8x51mm .277 Fury 3,600J
      2022年3月米陸軍次期正式小銃XM5用の弾薬なので本命かな。薬莢圧力が80,000psiとかなり強力。

    • .338 Lapua(6,000J)  1,600Y程の実用射程

    • 12.7x99mm(18,000J) 1,000Y位の実用射程

銃弾の評価指標

  • 初速
    銃口から出た時の速度。弾速計で測れるのでYouTube動画でも測定される定番指標。早い方がエネルギーもあるし到達時間も短い。その代わり、発砲音は大きくなる。特に音速を超えるときは。同じ弾薬でも重心の長さで大きく変わってくるのも注意。反動も高初速の方が少なめ。

  • 初期エネルギー
    弾頭の重さと初速を掛け合わせたもの。弾薬を威力を端的に表す。実際には想定している距離までの初速の落ち幅と弾頭の種類と対象の種類によって効果の評価は色々分かれる。

  • 落下率
    どんなに威力があっても当たらないと意味が無い。距離が異なって上下方向に照準が大きくずれては当たらない。まっすぐ飛ぶには軽い弾頭が有利だけど速度の落ち幅も大きいし到達時のエネルギーも弾頭が重い方が有利。この兼ね合いが面白い。

  • 到達エネルギー
    弾頭の重さと速度、速度は二乗に比例。

  • 風の影響度
    長距離になると風の影響も大きな問題になる。まぁ200m以下なら関係ないかな。

ブルバップ形式(Bullpup style)

薬室が末端の銃床部に位置する小銃。全体の全長が短くなることから、様々な銃が登場しているけどいまいち主役になれない形式。廃薬莢の方向が難しいとか、マガジン交換が素早くできないとか。色々。でもロマンあると思っている。

そのなかでDesertTechの製品は面白い。300 blackoutも一つの解だと思うけど弾薬の種類を増やしたくないのであれば、ブルバップ形式にして最低限のバレル長を確保しつつ。コンパクトな銃を使えば良いのだから。

MICRONは、11.5inchバレルで全長23,43inch。P90と同等。重さは7.35lbs.

DanielDeffence DOM4 PDW SBR 7inchバレル、全長21inch、重さ5.7lbs

https://deserttech.com/

ポリマー弾薬

兵士一人一人がフルオート可能な弾薬を装備する事により、消費する弾薬数も急増。それを持ち歩く重量も増加。それを軽減する為に、一時期はケースレス弾薬が研究された。通常の金属薬莢は使用してしまえばただのゴミ、それを持って歩く必要がないと考えるのは自然。しかし、うまくいかない。
一つは保存性の問題、どんな劣悪は環境で保存されても安定して炸薬が機能するためには高度な密閉性が必要で。発射時に燃焼して消えてしまう事を目標としているケースレス弾薬の外装と相いれない。また、発射時に発生する熱を排出する機能も金属薬莢にあるためケースれるにすると熱の処理の問題も発生する。それでも弾薬の軽量化は重要と言う事でプラスチック系の素材を利用するポリマー弾薬の登場と言う事になる。

True Velocityの6.8mm TVCM弾がNGSWと同時にされそうだという話がある。金属薬莢よりも20%軽い。ベルトリングの金属も軽量化しないのかな?

もっともNGSWに関しては2021/02/02にSIG MCXが残ったという発表もありこちらの仕様弾薬は通常の金属薬莢の6.8x51mm弾。

https://www.sigsauer.com/blog/sig-sauer-completes-final-delivery-of-next-generation-squad-weapon-system-to-us-army

ポリマー弾頭

非金属の弾頭。弾頭重量はおおよそ半分。当然初速が早い。あまり評判は良くないけどとっても興味がある。いつも持って歩くのだったらトータルの重量にも大きな影響があるしね。レビュー動画では装填アクションが正常にうごくのかを気にしているのが多かった。初速が早いだけにバレル長によって速度も影響され、4inchと8inchでは20%程の差がでるようだ。

Inceptor ARX。9mm 76gr 1,619 fps / 9mm +P 1,642fps。
380AUTO 56gr 1,260 fps

https://www.inceptorammo.com/inceptor-product/preferred-defense/

超軽量弾でリコイルが少なく、グリップが小さいサブコンパクトモデルには適していると思う。

ライフル用も販売されていて100Y(90m)程度だと、3MOA?それほど金属弾頭に劣ると言う事はないみたい。

でも拳銃選びも楽しいよね

色々なYouTubeを観て評価が高いのは

  • Glock43X + 15 round mag(S15)
    幅がせまいシングルスタックマガジンモデルで社外品のマガジンを使うと装弾数が稼げる。グリップは十分に長くつかめる。Glock43だと装弾数も減るしグリップも指が余る。Glock19と同じ装弾数なんだから凄い。Glockは社外品のパーツも多いのでYouTubeの投稿数もとっても多い。

  • Glock43 +9 round mag(Z9)
    2022年4月Glock43X用15発マガジンが大ヒットしたShiled ARMSからGlock43用9発マガジンZ9が登場。標準の6発より3つも多いが少し飛び出す。この飛び出し具合がグリップしたときにちょうど小指がかかるサイズでありそれでもGlock43Xよりも短い。再び旋風を巻き起こすか?

  • SIG P365
    サブコンパクトでは一番人気?SIGは”高級品”と言うイメージなのか全体的に人気がある。P226は実際に撃ったことがあるけどわかりやすいトリガーだった。P320 X compactもYouTubeの投稿数が多い。
    でもこのグリップサイズなら380ACPの方が良いんじゃないかと思う。

  • Walther PDP compact
    2021年に登場した新製品。Q4の後継だが、ダットサイトの取り付けなどをより考慮したモデル。フルサイズモデルにダットサイトを付けてもいいかも。

  • Berreta PX4 sub compact
    映画で観て、そのデザインに惹かれた。

  • CZ100
    結構人気、映画に登場したから?

なんだかんだ言って拳銃は持って歩いて意味があるので携帯性が第一。ダットサイトはいらないかなぁぁ。サブマシンガンかPDWのゾーンだと思う。予備マガジンを持ち歩くようなシチュエーションならサブコンパクトではなくフルかコンパクトモデルの出番だと思うし。

拳銃の射程

固定した的をじっくり狙ってなんて環境は特殊なので、移動しているものを素早く照準と言う事になると30m位?トレーニングでは15Yard(12m)程度が多い。IPSCで7mのターゲットが多い?警察機関の出動記録統計では平均で7Yardと言う数字もあるけど、これは平均で実際には2m以下と10m以上の二つのピークがあるらしい。

FBIの統計では70-80%は当たっていないので弾数は重要。カリフォルニア州のマガジン弾数10発規制に対応した製品戦略とかもあるので、大口径弾の人気もある。

私の腕ではSIG P226でじっくり時間を費やしても25yard先のゴルフピンに当てるのに3発必要だった。M700ライフルなら200Yard先の5inchプレート楽勝だけどね。

DUTY vs DEFENCE

DUTY、FBIプロトコルを重視。壁越しでも威力があるようにホローポイントなんだけどある程度の貫通力(PENETLATION)を要求

DEFENCE、自営用。短めのバレルの拳銃で使われる事を想定。弾速が遅くとも弾頭がひらくような弾頭。その分、貫通力は低め。第三者へに被害を抑えるためでもある。

拳銃弾のエネルギー