300BLK

銃器の弾薬の話は、様々な要素が絡み合ってとてもおもしろい。打ち出す銃器の仕様ですべては決まらず使う弾薬の弾頭の形・構造・重さ・炸薬量などによって様々な性能差を示す。そのために、想定しているシチュエーションに応じて最適な物は異なり、様々な議論を巻き起こす。

300 Blackoutが人気な理由

米国、特にテキサス近辺のガンマニアのYouTubeをみると、7.62x35mm 53,000 psi、ロシアのAK74用7.62x39mm 51,488 psiに近い性格の300 AAC Backoutが多く取り上げられている。

米国で最も多く使われている小銃弾5.56x45mmの欠点に関してはアマチュアガンマニアでは定番ネタで、7.62x51mmとの間を埋める「中間弾薬」に関しての話は沢山ある。特に、近年はバレル長が短いSBRが好まれる傾向があり。5.56x45mmではどんどんバレルを短くなると初速が遅くなり特に10インチ以下だと急激に落ちる。そうすると、軽い弾頭なのでエネルギーがなく実用的ではなくなる。

そこで、重い弾頭が使える300 BLKが登場し5inchでも実用になると言う話なのだろう。当然、そんな短いバレルでは大半の弾頭で音速を下回るのでサプレッサーの効果も大きい。サプレッサーの規制は米国でも州によって色々の様だが音が小さくなって悪い事は無く良く使われているようだ。軍用でも最近はサプレッサーを使っている映像が多い影響もあるだろう。

300 BLKの欠点

そんな、300 BLKだけど欠点も指摘されていてそれらを検証するYouTube動画が色々出ていて面白い。初速が遅いと言う事はエネルギーが少ないわけで、それでも実用的なのか?

拳銃弾を使うPCCでも100mは実用射程なので、200m位は使えないと意味ないけど弾道の降下率とかどうなんだ。擁護派はドロップは大きいけど横風の影響は受けにくいのでスコープで適切に補正すればよい、エネルギーは十分に残っている。懐疑派は、到達時間がかかると言う事は当たらない確率が高いと言う事だ。音速弾と亜音速弾の良いところだけ拾い上げて語っていないか?

220grをぎりぎり亜音速の1010fpsで打ち出しても675Jしかない、これは10mm auto 180grを下回る。

5.56x45mmのショートバレルでの検証

こちらも色々な検証がされている。10inch程度の超短いのと最近の軍用で標準的な14inchとの差。500mでの命中精度。面白いのは、DsertTECHから出ているMICORONコンバージョンキットで、これを使うと全長24インチ以内でバレル長11.5inchのコンパクトな5.56x45mmライフルになる。

これで実用になるのか?

SIG ratter、Maxim Defence PDXは556で5.5inchモデルがある。

マイナーなところでは4.5inchもある。Leviathan Ragnarok

5.56x45mm亜音速弾

色々なカートリッジを作るベンダーもいるし、手作りで火薬量等を調整した弾薬も作ることができる。そうすると、亜音速でサプレッサー効果が高い5.56も作れる。 でもそれって22LRと何が違うの?って程度のエネルギーになってしまうようだ。

63gr 895fpsだと112ft-lb、ドロップも大きい。22LR 40gr 1200fpsだと104ft-lb(141J)なので。

6.5mm creedmore

中間と言うより7.62x51mmの60,200psiに対し63,091psiとほぼ同等で弾道特性の改良版と言う感じ。大好きなトムクランシーの小説でも「6.5mmの弾道特性を調べたい」なんて一説が出てきたと思うので7.62x51mmは未だに現役ではあるものの、流石に古臭いのだろう。北米では狩猟で多くつかわれているようだ。

6.8x51mm(.227 Fury)

米軍のNGSW、次世代小銃で採用された弾頭は。中間弾頭ではなく、7.62x51mmを置き換える性格のものになっている。より高い炸薬のエネルギー(80,000psi)を封じ込め重い弾頭を高速で打ち出し、新しい照準器の助けも借りて従来500m以下だった戦闘可能距離を800mに伸ばす事を目指している。

つまり、中間弾薬の議論の決定版ではなく。5.56の改良版の話はまだまだ続く。

Glock 43 vs 43X

弾薬の話とは異なるが、グリップ部が短いGlock 43と三本指で握れるGlock 43Xのどちらが良いのかという話も熱い。加えてGlock48も入れると三つ巴。

ラスベガスに出張に行ったときに、Glock 26はかなりの弾数撃ったことがある。125grだったと思うが予想以上に握りやすく、ラピッドファイヤしてもそれなりにコントロールできた。反動が強めと言われる9mmでも十分実用になるなぁと思った。Glock 43はこれよりグリップが細いのですこし違うかも知れないが短いグリップモデルの人気も高い。

幅が薄いシングルスタックタイプのGlockが出る前は、Glock 19 vs 26だったが。コンシールドで持ち運ぶには薄いボディは圧倒的に有利で、今はシングルスタックのうちどれが一番お勧めかという話だ。この評価には、単純にグリップしやすいという事の他にマガジンの装弾数も大きな要素になる。現代のオートマチックピストルは比較的素早くマガジン交換が出来るが、やはり交換時は無防備になるしよっぽど訓練を積まないとスムーズには出来ないと言われている。特に拳銃は一発の威力も命中精度も高く無いので数が撃てることが重要。

そこで登場したのが、Glock 43X用の社外品で15発用のマガジンだ。シングルスタックのグリップであるGlock43Xに収まるダブルスタック相当の弾数を実現するマガジン。これはとっても衝撃だったらしく、大人気で品不足になると同時に信頼性についても多くの疑問が上がり、ケースが割れるとか様々な話が飛び交っている。

2022年の状況では、この15発マガジンも改良がされ安定して使えるとの評価が固まりつつあり15発マガジンに収容できるGlock43Xが最もお勧めできるハンドガンとなっているようだ。


B&T APC9/SPC9 ,SIG MPX,HK SP5

9mmのサブマシンガンと言うと、古くはUZIかMP5かと言う話だったが、最近は多くのモデルが登場している。その中で、2019年米軍に正式採用になったB&T APC9proが注目されている。この時の候補の一つであったSIG MPXの人気も高くまたB&Tから最近SPC9と言うAR系ライフルの機構をそのまま採用したコンパクトな9mmも登場し比較動画も白熱してている。

日本の自衛隊も9mm機関拳銃なんてさっさと捨てて、新しい9mm SMGを採用すればよいのに。調達数266丁程度で国内生産なんてありえない。

個人的にはSIG COPPERHEADの4.5inchモデルが良いと思うな。

CMMG

2002年に設立された新しい会社。面白い製品をラインナップしておりガン系YouTuberに大人気。10mm PCCとか、4.7mm, 5.7mmのPDW弾薬のサポートや。ロシアAK系の7.62x39mm弾対応など実に多様。

特に興味深いのは10mmのPCC。様々なメーカーが9mm対応を中心にラインナップし弾薬の種類も沢山あるので広い適応範囲を持つがやはり一回り大きい10mmの方が反動制御が楽なPCCには適している。357 MAGや44 MAGを使うPCCも一昔前は流行ったようだが、今では弾薬の種類の豊富さでは10mmの方が優位。

300BLKもあるけど、やはり短いバレル長では元々の設計が拳銃弾で有る方が優位に思える。